もうすぐ母の日ですね。子どもはもちろん、ふだんはお花を買ったりしない男性も、この日ばかりは「お母さんありがとう」のメッセージを添えてお花を贈る方が少なくないので、日本では一年中でダントツにお花の売れる日です。
お母さんたちにとっては、ちょっと嬉しい日なのではないでしょうか?
ところで、本書の著者である新井紀子先生は、東ロボくんのお母さんです。国立情報学研究所教授、専門は数理論理学(←私は???です)「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトのディレクタ…すごい肩書や実績は他にもたくさん!!
非常に勝手に、平たく申し上げると、秀才東ロボくんを、目下MARCH合格レベルまで育て上げられたお母さん…です。AI界の秀才(?)東ロボくんは母の日にお花を贈ったりするのでしょうか?(いや、それじゃ、ファンタジーになっちゃうから・・・)
「AIvs教科書の読めない子どもたち」(新井紀子著・東洋経済新報社)

私は、この本が出版されてすぐに店頭で見かけ「AI」ではなく「教科書の読めない子どもたち」の方のフレーズが気になり、即買い、即読みしました。このブログで紹介しようかな…でも、一般的には少し読みづらい本かな…と迷っているうちに、受験界の☆林修先生がTVで取り上げ、大手のメディアでも多々取り上げられたので「ま、私が紹介しなくても、別にいいか…」と思っておりました。
が、書評やレヴューなどを見ていると、どうも私が考えている読まれ方とは少し違う気がするので、今更ですが・・・。
第1章と第2章はAIが分からないとか興味がないとか思われる方には読みづらいかも知れません。(ちょっと主観に基づいて)大雑把にまとめると、巷に氾濫しているAIが人間を喰ってしまう…的な煽りを、第一線の専門家としてきっぱりと「AIは人類を滅ぼしません!」とバッサリ否定して下さっています。(そのテの「単なる自慢?」的な著書の多さにイラっとしていた私は、かなりスッとしました。「だよね~!」と声に出したほど)
子どもの学力が気掛かりなお母さんは是非第3章をよくお読みください。
これまた大雑把にまとめると、小学生から大学生まで、成績上位(多分8分の1?)は文章の読み違いが2割程度で、それ以下クラスはおしなべて、ありがちな誤読+ひどい誤読が8割…という信じたくない報告が載っています。(問題文は難解ではありません。)つまり、教科書もきちんと読めていない…ということです。吃驚ですか?私は「やっぱりな…」です。
これぞ、私が拙著「教育にもセカンドオピニオンを!」で「ここがヤバいよ、小学生・・・やっぱりヤバいよ、高校生」で力説した、子どもたちに起こっている心配な現象を、しっかり研究調査データの裏付けで説いていらっしゃるのです。
私櫻井としては、けっして「ホラ見ろ、だから言ったでしょ!」と自慢しているわけではなく、むしろ「あ~参ったな~こんなすごい先生にしっかりデータ付きで実証されちゃったのか。トホホ・・・」という気持ちです。
新井先生は「基礎的読解力は人生を左右する」と仰っています。しかしまた、子どもの読解力の劣化と関係がはっきり立証できる因子は調査しても判明しなかったとも…。
生徒たちの読解力が常に気になる私は、根本的な治療法の分からない病気に「たとえ対症療法であっても何とかしたい…」と思われる臨床医の先生の気持ちが分かる気がします。
お母さんたちはこの本をどのように読まれるでしょうか?

神戸市灘区(六甲と六甲道の間)で、小学4年~高校3年の女子対象に個別指導を33年続けている
ATHENE(アテネ)の塾長 櫻井久仁子