ベストセラー「AIvs教科書が読めない子どもたち」(新井紀子著・東洋経済新報社)の内容は、私には非常に納得できるもので、社会的にかなり反響がありましたね。ところで、私が気になっているのは「教科書を読まない子どもたち」です。
置き勉…教科書を学校に置きッパが絶対にダメなのはモチロンなのですが、カバンに入れて往復させていても、全く教科書を開かない子が結構いるのはご存じですか?(成績がそれなりに良い生徒から、残念な生徒まで…まんべんなくいます。)
「だって、先生が教科書を(授業で)使わないし…」というのがその理由らしいです。
一年たっても教科書は、ほぼ真っ新。ついでに、本人の頭の中も、かなり真っ白…です。
(定期テストはこなせても、時間が経つと、記憶も去っていく…というケースも含みます。)
教科書を使わない授業…どうやって進めるの?というと、ほぼプリント授業のようです。授業中、先生の指示に従って、プリントのブランクを記入する。分かっても、分からなくても、とにかく言われたこと(だけ)を書いて、授業は終わる。
で、家に帰ると…①プリントを放置。②プリントを見ても分からない、思い出せないから、復習や演習は進まない…。③プリントを眺めて(勉強したつもりで)テストを受けて、結果はイマイチ…。などなどが、起こりがちです。
家で、その日の授業が教科書の何ページから何ページに該当するのか、それを確認している生徒がいったい何割いることやら…。(多分、あまりいないのです。恐ろしいことに…)教科書を自力で一読するだけでも、良い復習になるのに…。もちろん、大切だと思うところにマーカーで線を引くと、なお良いです。ただし、塗りつぶしてシートを掛けるのはお勧めしません。キーワードだけでも、手書きすると頭に残りますよ。
こんな状況ですから、復習や演習のワークブックをする時でも、教科書や参考書を調べない生徒は普通にたくさんいて…「知らない、分からない、習ってない」と、のたまいます。
そして、(やり方ではなく答そのものを)教えてくれるのを待っていますが、アテネでは自分で探させます。始めのうちは時間がかかり、上手くできません。恨めしそうな顔をされますが、そこは(お互い)グッと我慢しなければ、力が養えません。この取り組みは、頭の体力トレーニング…と表現すると分かりやすいでしょうか?
 センターテストから共通テストへの動き方を見ても、大量の文章の中から、必要な情報を素早く見つけ出す力が、より要求されているのがわかります。
読み・書き・計算が頭の基礎体力なのは、時代が変わっても、変わらないことです。時間をかけてコツコツ積み上げる以外、身に付けることはできません。
「読まない」「書かない」を続けていると、「読めない」「書けない」になってしまいます。
まずは、自分の教科書を開いて、ちゃんと読んでみましょう。

神戸市灘区(六甲と六甲道の間)で、小学4年~高校3年の女子対象に個別指導を36年続けている
ATHENE(アテネ)の塾長 櫻井久仁子